神奈川食べる通信2016号1月号

ブログ, 映像

神奈川食べる通信1月号「伝統野菜は都会人(びと)のつながりの中から復活しつつあり」 from Hifumi Film Project on Vimeo.

生産者さんと読者をつなげる「神奈川食べる通信」。
2016年1月号は川崎野菜の特集号でメーンの特集は「万福寺人参」の紹介です。

万福寺人参の生産者である井上広基さんとは以前からお付き合いがあり、それがご縁で今回紙面に連動したインタビュー映像の制作を担当させて頂きました。

今回は各生産者さんも含め5本のインタビュー映像を撮影したので順にご紹介させて頂きます。

 

 

麻生区古沢 井上広基さん

 

今回のメーン特集「万福寺人参」の生産者さん。
井上さんの畑では年間100種類の野菜を作っていて、地域のレストランにも直接野菜を卸している。

 

 

一汁五菜

新百合ヶ丘和食の名店「一汁五菜」

ラグタイム

隠れ家的完全予約制レストラン「ラグタイム」

 

レストランのシェフから「こんな野菜作れないかな?」という注文を受けて作ることもあるそうで、実際に一汁五菜さんからの依頼で「賀茂茄子」「聖護院大根」、ラグタイムさんからの依頼で「サラダほうれん草」などを作っています。

 

井上広基

 

井上さんは農家の三代目、農家を継ぐ前は木工や彫金の仕事をされていました。
インタビュー中で「(農家になってから)喜んで貰える回数が増えたかな」と語っているのがとても印象的でした。
「野菜ってみんあ食べるし、食べる物ってやっぱり必要なものじゃないですか」と井上さん。
インタビューの最後で、

「うちの野菜使ってて良かったなと思ってもらえる農家になりたい」
「大きなことは考えてないですが、良い評価がもらえるように、恩をかえしたいなと思います」

という言葉が
井上さんの実直な人柄をとても良く表しているなと感じました。
インタビューには収録されていないんですが、ある直売所に良く買い物にきてくれていた、ご年配の方とのエピソードを交えて、地域の高齢の方向けに野菜を自宅まで届けることができないだろうかとお話し頂きました。今回のテーマとは少し外れるので収録しませんでしたが、この話も彼の人柄をよく現したシーンだったので別の機会で公開できれば嬉しいです。

 

井上農園のお野菜は、柿生野菜生産者直売会の直売所(新百合ヶ丘、柿生、五月台、栗平など)かセレサモス麻生店で購入することができます。

高津区 下作延 木所 大輔さん

木所さんは実は私の小・中学校の同級生。

地元が一緒で、小さい頃から実家が農家だというのは有名な話でした。

 

今回の取材を通じて久しぶりに再会したんですが、不思議な感覚でした。

 

お野菜ブーケ

木所農園×加藤花飾堂「お野菜ブーケ」

 

木所農園の色とりどりの野菜を使った「お野菜ブーケ」
木所さんと高校の同級生「加藤花飾堂」の加藤さんが一緒に開発した商品。

ブーケのお野菜はもちろん食べることができます。
珍しい野菜も多いのでどうやって食べたら美味しいか分からないという方、ご安心ください。
木所さんの奥様が書いたお野菜の美味しい食べた方のレシピがブーケと一緒についてきます。

お野菜ブーケのご注文はこちらから行えます。

 

 

木所さん

 

「畑とかやめちゃって不動産にしちゃえば簡単なんですが、代々守ってきたこの畑を自分の代で潰しちゃうのは先祖に忍びないな〜」

木所さんのこの言葉は川崎という発展目覚ましい都市化が進む中で農業を営んでいる都市農家の心意気を感じました。

インタビュー中にもありますが、畑が一時避難所として設定されているので、東日本大震災の時にも実際にご近所さんが集まってきたそうです。

こういった心意気の農家さんの地域への貢献は色々な面で大きい。我々地域住民も意思を持って彼らの野菜を購入することにはとても重要な意味がある。
お互いに助け合う環境が作れたら素敵だなと感じました。

 

 

 

宮前区 平 小泉 博司さん

 

小泉さんは「農園フェス」の主催者として、とても有名な方だったので今回撮影でお話しお聞きするのを楽しみにしていました。

 

イチゴ

 

住宅街の一角に突如表れるビニールハウス。その中にはきれいに並んだ苺の棚がびっしり並んでいます。
小泉さんもおっしゃってましたが、周りの風景とのギャップもあり、ビニールハウスの扉を開けた時のワクワク感はアミュージュメントパークの入り口を入った瞬間と似た気分です。

 

スクリーンショット 2016-02-03 9.10.31

 

「産地の野菜を紹介するのは産地には不向きかもしれない。産地の野菜はスーパーに売っていて、スーパーの店員さんはそんなに野菜に詳しくないから」

「うちの野菜は、スーパーの野菜よりは美味しい、でもうちの野菜で美味しいっていう人は産地で同じ野菜食べたらブッとぶよ!」

「そういうお話しができる場が、この川崎の都市農業のあり方」

 

スーパーの野菜よりも地元の農家さんの作る野菜の方が美味しいというのは実感としてありましたが、産地にいって採れたてを食べたらもっと美味しいという感覚は正直なかったです。
産地野菜への入り口が都市農業の農家という考え方はとても新鮮です。国内の旅行先を検討する際に「地元の農家さんが薦める産地に行ってみよう!」となる日も近い気がします。

 

「できることをちょっとずつちょっとずつやっていくのが…」

インタビュー最後におっしゃってた、この言葉。革新的な考え方の持ち主の小泉さんもまたお人柄は実直な方なんだなと感じました。

 

井上さんも木所さんも小泉さんも、都市化の進む川崎の中で農業を営んでいる方々に共通しての印象は「実直さ」です。
都市化が進む川崎で地域住民が受ける恩恵は、美味しい野菜を食べられるだけではない。地域の農家さんを地域住民が支える、これも都市農業のあり方の一つです。

 

生産者さん3人に加えて、川崎の農業を様々な活動で応援する
一般社団法人カワサキノサキ 代表理事 田村 寛之さん」と
今回の紙面で万福寺人参の美味しい食べ方を紹介してくれた
Cucina LIBERA代表 フードクリエイター 亜妃琉 まことさん
こちらのお二人については次のブログでご紹介させて頂きます。